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日本古代の葬儀観

2016年1月12日

 今回は日本古代の葬儀観に付いて書かせて頂きました。

 日本古代に於いては 人の生と死の境界は必ずしも明確では無く、人の死を確定するには それなりの時間が必要とされました。その間は 死者を生者と同様に扱うと共に、原始の時代の死生観から生まれた霊魂を畏れ・敬う為に 葬送儀礼が行われてきたと考えられます。又 霊魂は死霊にもつながり、恐怖の元ともなりました。この死霊を蘇らせない為に、ご遺体をほおむる際に、屈葬(くつそう)や抱石葬(ほうせきそう)で埋葬されたと言われます。

 現代では 死の判定は医師によって行われ、特定の時間にその人の生が死へと変わります。しかしながら原始の時代には 生と死の判別には それなりの時間が必要とされ、その間に現れるご遺体の腐敗は荒ぶるものであり、恐怖でもありました。その様ななかから原始宗教が生まれ、霊魂の考えが生まれたと考えられます。古代の葬送儀礼の一つである 殯(もがり)は 人が死んだと認められても すぐにご遺体を処理してしまう事なく白骨化を待ち、その間は 死者に生きている者と同じ様に 食事を与え、霊魂を慰める為に 音曲をもようしました。

 死者の霊を慰める為に歌舞が行われましたが、死霊は荒ぶるもので、生きている者へ厄災を及ぼしかねないと考えられており、その霊を慰める必要があったからです。古事記のなかには死後の世界である”黄泉の国”について記述があり、腐乱した死体に蛆が群がる汚い世界として描かれています。つまり 死は穢れており、死霊は生きている者を死の世界へ引きずり込もうとする恐ろしいものと考えられて居りました。古代の葬儀観では 死者を大切に扱うという考え方と 死は穢れていて恐ろしいものという考え方が共存して居りました。

 こうした 死や死霊に対する恐怖心は原始の時代からあったと考えられます。石器時代や縄文時代の墳墓の多くではご遺体の埋葬は 手足を折り曲げてほおむる屈葬が一般的です。屈葬を行う理由としては 死者の霊が生者に災いを及ぼすのを防ぐ為、胎児の姿を真似る事により再生を祈る、休息の姿勢、などの説があります。又 ご遺体の上に石を置いた抱石葬は ご遺体の外に死霊が出ぬ様にと 考えられます。

   今回は以上です。