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仏教を信仰する方の葬送儀礼(葬儀)

2020年11月2日

死者のお見送りの儀礼の多くは信仰する宗教に従って営まれるのが一般的です。

現代日本に於けるお見送りの儀礼のほとんどは仏教で営まれて居り、仏教によるお見送り儀礼は葬送儀礼(略して葬儀)と呼ばれ、

葬儀と呼ばれれる仏教の固有名詞は宗教に拘わらずお見送り儀礼の普通名詞として使われる事となりました。

仏教に於ける葬送儀礼の目的は、故人様を仏(釈迦)の弟子に加え、故人様の魂を西方浄土へお送りする事に有ります。

 

花祭壇

1 仏教の葬送儀礼(葬儀)の始まり

-仏教と葬送儀礼(葬儀)

現代の日本に於きましては九割を超える方々は旅立ちの儀式は仏式を選択されております。

仏式に於ける旅立ちの儀式は“葬送儀礼”と呼ばれますが、一般的にはそれを略して葬儀と呼ばれます。

本来の仏教では葬送儀礼は重視される儀式では有りませんでした。

釈尊(釈迦の敬称)は弟子に死後の遺骸の処置を問われた時に “僧侶は遺骸の供養などは考えず、真理の追求に専念すべき、供養は在家の信者がしてくれる。”と答えたと伝えられます。

この考えの一部は現在でも継承されて居り、僧侶はご遺体、ご遺骨、墓石には触れないものとされます。

-仏教儀式としての葬送儀礼

しかしながら仏教がインドから中国へ伝播すると、中国漢民族が信奉してきた道教や儒教の先祖供養の民間信仰と習合し、葬送儀礼も仏教に於ける儀式の一つとなって行きました。

その中国仏教が飛鳥時代に日本に伝来し、皇室や豪族の信仰の対象となって日本国内に浸透して行きます。

更に、鎌倉時代には庶民の間にも広がりを見せ、庶民の間でも葬送儀礼が行われ始めます。

そして、江戸時代に寺檀制度を基とした檀家制度が全国に定着すると、葬送儀礼は仏教に於ける重要な儀式となりました。

日没

2 葬送儀礼とお経

仏教に於ける葬送儀礼の主要な部分が”読経”と呼ばれる経典の読誦です。

キリスト教の“聖書”、イスラム教の“コーラン”に当る、仏教の経典に当るものが“お経”です。

お経は;

教(釈迦の教え、本来のお経)、

律(僧が守るべき社会生活上の掟)、

論(後世の仏教学者によるお経の内容の注釈)

の三部(三蔵経という)により構成されます。

お経はインドではバーリ語(小乗仏教)サンスクリット語(大乗仏教)で書かれて居りましたが、中国に伝わった後に中国語(漢字)に翻訳され、日本へは漢字で伝えられました。

お経

-お経の種類

お経の種類は俗に八万四千あると言われますが、正確には不明です。

主なお経としては以下のお経が有ります;

〇 般若心経(はんやしんきょう)

大般若経(全600巻)のエッセンスを簡潔にまとめたもの。智慧で彼岸(悟りの世界)へ渡る事を説いた経典。

〇 法華経(ほけきょう)

最澄の天台宗、日蓮の日蓮宗の教えで

①一条妙法;万人を平等に成仏させる教え、

②久遠本仏;釈迦の永遠の生命について説く、

③菩薩行道;現実社会での実践について説く、

の三部から成ります。

〇 観音経(かんのんきょう)

法華経の第25章で何時でも、何処でも救いを与える観世音菩薩の功徳に付いて述べたものです。

〇 阿弥陀経(あみだきょう)

浄土教の最も重要な教典で極楽浄土がどんな所か、どうすれば極楽浄土に往生出来るかを説いております。

〇 この他のも維摩経(ゆいまきょう)、経集(きょうしゅう)、法句経(ほうくきょう)、涅槃経、開経偈(かいきょうげ)、四弘誓願文、正信偈等があります。

3 お経の読誦(読経)

仏式の葬送儀礼では僧侶によるお経の読誦が主体となりますが、これは”お経の読誦や念仏を唱えることは浄土へ往生する為の正行の一つである”との教えに基きます。

葬送儀礼の中で読経は、ご逝去の直前、通夜式、葬儀式、火葬炉前、納骨式(埋葬式)、各種の法要などで行われます。

読経

-枕経

ご逝去直前の読経は枕経と言われ、本来は死にゆく方が不安にならぬ様、浄土への案内として枕元で死を看取りながらお経をあげる儀式でした。

しかしながら現在では死後すぐに行う儀式に変化して居ります。

特に現代では病院で息をひきとるケースが多くなり、病院での読経は困難な事から、

ご遺体がご自宅に帰宅した後に、ご遺体を安置し、ご遺体の枕元に小机を備え、その上に三具足(香炉、花立て、燭台)と鈴を整えて枕飾りとし、僧侶の読経を頂きます。

この儀式は死者に初めて経を聞かせると言う意味も御座います。

又、宗派によりましては枕飾りの他に所定の掛け軸や絵像を掲げで儀式を行う事が御座います。

尚、宗派、地域によりましては枕経を行わない場合も御座います。

通夜式

-通夜式

通夜式は故人様を仏門に帰依させる為の授戒と御仏を揺るぎ無く信仰する事を誓い、

それに対する功徳が故人様にも振り向けられて彼岸に往生する事を願う為に行います。

従いまして読まれるお経は授戒式の為と、御仏に帰依する事を誓う為の、ものとから成ります。

尚、宗派によりましては故人様の死と同時に仏門への入門が許されるとの解釈から、授戒を行わない事も御座います。

-葬儀式

葬儀式は御仏への帰依を誓うと共に、仏弟子となった故人様の成仏を祈念する儀式です。

御仏への帰依、故人様の成仏を祈念する読経は宗派によりそれぞれ決められた形に従います。

-火葬炉前・納骨式

火葬炉前、納骨式での読経は故人様の成仏を祈るお経が宗派の決まりに従って読経されます。

読経人形

-法要

法要とは本来は釈迦の教え(仏法)を知る事、仏法の要点・肝要を知る事を言いましたが、

日本では次第に追善供養のことを指す様に成り、現在では死者を弔う儀式を指す様に成りました。

追善供養は故人様の命日に故人様の冥福を祈って行われる儀式ですので、死者の冥福を祈るお経が読まれる事と成ります。

今回は以上です。