古墳時代の墓

 今回は古墳時代の墓に付いて書かせて頂きました。

 

 古墳時代は3.5世紀から7世紀頃と考えられて居りますが、弥生時代末期には各地の豪族により大型の墳墓が造られる様になり、その形状は円い円墳や長方形の方墳などとして見られます、そして 古墳時代に入り 円墳と方墳を合わせた前方後円墳が造られる様に成ります。墳墓はより巨大化し埋葬品も多岐にわたる様に成ります。古墳時代は前方後円墳の時代であったとも言えます。古墳時代末期には大王の特別な墓として八角墳が築造される様になりました。

 

 弥生時代後期には 倭国内各地に豪族が立ち、徐々に奈良盆地を中心とする王権と、北九州を中心とする王権に集約され、更には奈良のヤマト王権が倭国の統一政権として確立されました。前方後円墳は ヤマト王権が確立して行くなかで、各地の豪族に築造を許した墳墓の形式ではないかと考えられて居ります。同時に3世紀後半から4世紀にかけて 王墓と考えられる 格段に規模の大きい前方後円墳が奈良盆地内に築造され、4世紀末には河内平野に巨大古墳が築造されました。そして 古墳時代末期に倭国の呼称が日本国へと変わりました。

 

 古墳時代になると 王族や貴族の大型古墳、地方豪族の古墳、横穴墓などの集合墓、そして 円筒埴輪棺など、死者を埋葬する墳墓の階層化が顕著となります。大型古墳の中には石室が造られ、ご遺体は柩に納められ、多くの副葬品と共に埋葬されました。副葬品としては 故人が生前に愛用していたものの他、武具・甲冑・刀、石人・石馬、人物や動物をかたどった埴輪なども納められて居ります。又 古墳は 当初 自然の丘陵や尾根を利用して造られましたが、のちには 平野部に盛り土をして 周囲を濠でかこんだ巨大なものへと変化して行きます。この様な巨大な古墳に手厚く葬る葬法を”厚葬”と言い、天皇家、豪族、有力者にたいして行われて居りましたが、その後 儒教文化・仏教の伝来とともに、次第に少なくなって行きます。

 

   今回は以上です。

弥生時代の墓

 今回は弥生時代(紀元前3.5世紀−紀元3.5世紀)の墓に付いて書かせて頂きました。

 

 縄文時代から弥生時代へと移ると 墓地や埋葬の形態も変化して行きました。縄文時代にはご遺体を住居の側に埋葬する事が一般的でしたが、弥生時代になると集落が営む共同墓地が一般的となり、更に時間と共に墓の形態が大きくなり、そして 社会階層が生まれるに伴い 階層による墓の差異も生まれ始めます。又 縄文期の地面に穴を掘りご遺体を埋葬する形(土壙墓 どこうぼ)から、弥生期には ご遺体を甕、石、木製などの棺に納めて埋葬する形へと変化しました。

 

 弥生時代の墓地の形態としては 大きく分けて三段階に分けられ、集団墓・共同墓地であった第一段階、集団墓の中に不均等が出て来る第二段階、そして 集団の中の特定の人物や 特定のグループの墓地が区画化される第三段階と考えられます。また この時代には 数個の支石の上に長方形の天井石を乗せた 支石墓(しせきぼ)が現れます。現存する最古の支石墓は 佐賀県唐津市東宇木にある 葉山尻支石墓で、天井石には長さ2メートル程の巨石が乗せられて居ります。


 弥生時代の棺としては 甕棺(かめかん)が主流となって居ります。甕棺は縄文時代にも使われて居りましたが、それは主として乳幼児用の非常に小さいものだけで、成人用の大きな甕棺が出現するのは弥生期に入ってからになります。甕棺に納められたご遺体は 膝をおった形の屈葬の形で収められ、社会階層の高いと思われる棺には副葬品も収められ、甕の口は密封されました。密封する事により 死者の霊魂を閉じ込めたと言う説も有ります。


 弥生時代の棺としては 木棺や石棺も存在しました。木棺は弥生前期に出現したと考えられて居りますが、現存するものが無く、その実態は明らかでは有りません。石棺は板石を箱状に組み合わせた棺で 木棺と同じく弥生前期に出現しましたが、甕棺が作られ始めると その利便性から、利用される事は少なくなりました。


 弥生時代に入ると 遺体埋葬地に土で塚を築く 墳丘墓が出始めます。当初は比較的小規模なものでしたが、弥生後期に入ると墳丘の規模が一気に大きくなり、その後の古墳時代へとつながって行きます。


   今回は以上です。 


 

日本古代の葬儀観

 今回は日本古代の葬儀観に付いて書かせて頂きました。

 

 日本古代に於いては 人の生と死の境界は必ずしも明確では無く、人の死を確定するには それなりの時間が必要とされました。その間は 死者を生者と同様に扱うと共に、原始の時代の死生観から生まれた霊魂を畏れ・敬う為に 葬送儀礼が行われてきたと考えられます。又 霊魂は死霊にもつながり、恐怖の元ともなりました。この死霊を蘇らせない為に、ご遺体をほおむる際に、屈葬(くつそう)や抱石葬(ほうせきそう)で埋葬されたと言われます。

 

 現代では 死の判定は医師によって行われ、特定の時間にその人の生が死へと変わります。しかしながら原始の時代には 生と死の判別には それなりの時間が必要とされ、その間に現れるご遺体の腐敗は荒ぶるものであり、恐怖でもありました。その様ななかから原始宗教が生まれ、霊魂の考えが生まれたと考えられます。古代の葬送儀礼の一つである 殯(もがり)は 人が死んだと認められても すぐにご遺体を処理してしまう事なく白骨化を待ち、その間は 死者に生きている者と同じ様に 食事を与え、霊魂を慰める為に 音曲をもようしました。

 

 死者の霊を慰める為に歌舞が行われましたが、死霊は荒ぶるもので、生きている者へ厄災を及ぼしかねないと考えられており、その霊を慰める必要があったからです。古事記のなかには死後の世界である”黄泉の国”について記述があり、腐乱した死体に蛆が群がる汚い世界として描かれています。つまり 死は穢れており、死霊は生きている者を死の世界へ引きずり込もうとする恐ろしいものと考えられて居りました。古代の葬儀観では 死者を大切に扱うという考え方と 死は穢れていて恐ろしいものという考え方が共存して居りました。


 こうした 死や死霊に対する恐怖心は原始の時代からあったと考えられます。石器時代や縄文時代の墳墓の多くではご遺体の埋葬は 手足を折り曲げてほおむる屈葬が一般的です。屈葬を行う理由としては 死者の霊が生者に災いを及ぼすのを防ぐ為、胎児の姿を真似る事により再生を祈る、休息の姿勢、などの説があります。又 ご遺体の上に石を置いた抱石葬は ご遺体の外に死霊が出ぬ様にと 考えられます。


   今回は以上です。 

日本古代の葬送儀礼(葬儀)

 今回は日本古代に行われていた葬送儀礼(葬儀)に付いて書かせて頂きました。

 

 日本古代の葬送儀礼としては 殯(もがり)と葬列が主となる儀礼であり、然るべき立場の貴人に対してのみ行われていたと考えられます。この内 葬列は永く継承され、現在でも地域によっては営まれて居りますが、殯は仏教の伝来の後には火葬の普及とともに営まれなくなりましたが、現代の通夜は 一夜の殯とも言えます。

 

 殯(もがり)とは ご遺体の腐敗・白骨化などを確認して その死を確定する為の期間であると共に、死者の復活を願い 死者の霊魂を畏れ・慰め 別れを惜しむ為の葬送儀礼を営む期間でも有りました。古事記(712年)や日本書紀(720年)に記述されている内容から推測される殯とは 貴人が亡くなられると ご遺体を安置する殯宮(もがりのみや)を建て、その中に柩に納めたご遺体を安置します。そして 旗を持つ役、殯宮を掃除する箒を持つ役、死者に食事を供する役、死者の膳に供する米をつく役、泣き女などが定められ、一定期間をかけて死者の鎮魂の為、食事を供し、死を嘆き悲しみ、歌い踊って死者の霊を慰める儀礼が行われたと考えられます。その期間は一年から三年の間と推測されます。

尚 昭和天皇は 崩御後13日目に御体を収めた柩は御所から宮殿内に建てられた殯宮に移御され、崩御後45日目に営まれる 大喪の礼や 斂葬の儀(れんそうのぎ)までの間、殯宮拝礼の儀をはじめとする諸儀礼が営まれました。そして 殯宮は 天皇陛下の場合は ”もがりのみや”、皇后・皇太后・太皇太后の場合は ”ひんきゅう” と呼ばれます。


 葬列とは 遺族・親族・友人・知人が列を組んで、ご遺骨を殯宮から墓地に運ぶことをいいます。古代では 葬列が葬送儀礼のメインイベントでした。又 葬列は日本だけではなく、世界各地の葬送儀礼で見ることができます。


   今回は以上です。

葬儀の始まり

 今回は葬儀の起源に付いて書かせて頂きました。

 

 死に付いての学問を始めて切りひらい学者は フランスの歴史家である フィリップ・アリエス(1914年−1984年)といわれ、その著書 ”死の文化史”の冒頭には ”かねてより信じられて来た様に、人間は自ら死にゆく事を知っている唯一の動物だ、ということは 実は確実ではありません。その代り確かな事は 人間は死者を埋葬する唯一の動物だということです。と書きました。アリエスは ネアンデルタール人が5万年以上前に死者を埋葬した共同墓地としてシャニダール遺跡を紹介して居ります。

 

 シャニダール遺跡とは イラク北西部のトルコとの国境に近いクルディスターンにある石灰岩の洞窟遺跡です。この遺跡内は4世代の地層が重ねられて居り、その最下層から9体のネアンデルタール人の骨が発掘されました。この内の4体は 約5万年以上前の旧人の骨で、丁寧に埋葬された墓ではないかと推定され、また その土の中から 多くの花粉や花弁が確認された事から、当時の旧人は 死者を悼み、遺体に献花をしたり、花を副葬品として用いたのではないかと推測されます。人間は有史以来 人が死ぬと葬儀を行って来たと言えるのではないでしょうか。

 

 日本に於いては ”古事記”や”日本書紀”の中に 貴人を”殯(もがり)”にしたと言う記述が記録されて居ります。殯とは 日本の古代に行われていた葬儀儀礼で、死者を本葬するまでの期間、棺に遺体を仮安置し、別れを惜しみ、死者の霊魂を畏れ・慰め、そして死者の復活を願いながら、遺体の腐敗や白骨化などの物理的変化を確認する事により 死者の死を確認する為の儀礼でした。従いまして その期間はかなり長いものであり、場合によっては一年を越えるケースもありました。殯の期間に遺体を安置した建物を 殯宮(もがりのみや)といいます。万葉集の中では”あらきのみや”と詠まれております。そして 現在の通夜は 殯を原型としていると言われて居ります。

 

   今回は以上です。

葬儀のお手伝い

 今回は葬儀のお手伝いに付いて書かせて頂きました。

 

 葬儀は 故人様そしてご遺族様にとって大切な営みで御座います。従いまして 私ども 葬儀のお手伝いをさせて頂く者は その葬儀を習慣的な営みとして行うのではなく、その故人様の生と死が固有の価値を持つ 個別の営みである事を 良く自覚してお手伝いしなければ成りません。一つの葬儀は 二つとない葬儀であり、ご遺族様のお気持ちを大切にして、その悲しみを思い計り、意味の有る葬儀を実現する為、奉仕・お手伝いをさせて頂かねばなりません。


 現代の日本に於ける社会・環境は大きく変化し、ご葬儀に於いて 地域の方々の協力が得られなくなったり、ご家族、ご親戚間の関係が変化したりなどから、葬儀の施行に当たり ご遺族様の私どもへの期待はより大きいものが御座います。私どもは 一つ一つのご葬儀が ご遺族にとって意味のあるものであり、心に残る葬儀であるべく、努力しなければ成りません。その為には 葬儀に対して 正しく、明確なポリシーを持つと共に、ご遺族様のお気持ちをそんたくした、葬儀の施行に心掛けなければ成りません。又 こうしたご葬儀のお手伝いの中から 多くの事を学ばせて頂きます。ご葬儀を過去の文化としてはならず、学ばせて頂いた事を基に 新たな、意味の有る葬儀を実践したいと考えます。


 ご葬儀の主体はあくまでも故人様であり、ご葬儀の責任はご遺族さまであり、葬儀の執行は 僧侶・神職・司祭・牧師などの宗教者であり、そして 参列して頂く方々により構成されます。この祭祀空間の場を設営し、ご遺族様をお手伝いする責任を負うのが私どもです。私ども葬祭ディレクターは ご遺族様や宗教者の方から学び、その御意向を支援する立場でご葬儀を実現する責任を負う事となります。


 ”有難う 良かったよ” の一言を頂ける様、精進させて頂きます。


   今回は以上です。

葬儀と文化

 今回は葬儀と文化に付いて書かせて頂きました。

 

 有史以来 人が亡くなると葬儀が営まれて来ました。その葬儀は 地域、民族、宗教などによって育まれた文化を基にして作りだされて来ました。葬儀は それぞれの死生観を反映するだけでなく、精神文化や生活文化を反映したものともなって居ります。そういう意味では 葬儀は人の生死に係わる総合文化であるとも言えます。

 

 葬儀文化は 長い歴史を通じて、その地域の人々が培ってきた儀礼ですから、その中に込められた精神は大切にしなければ成りません。又 葬儀には永く 多くの人々が育んできた智恵に溢れています。過去の遺物である と単純に切り捨てる事無く、その中に込められた意味を学ぶ事は大切です。確かに文化は 過去の歴史と その時代を反映して居りますので、内容によっては 現在の事情に合わなくなって来たものもあり、全てをそのまま継承する必要はありません。しかし その文化が どの様な目的で、どの様な歴史の中で形成されてきたのかに 思いをはせれことは、永く続いて来た 文化、習慣、儀礼から古人が何を大切にして来たかを学ぶ事が出来ます。その中から 葬儀が形骸化してしまわぬ様、葬儀の意味を常に再確認して、その時代にあった、そのご遺族にあった葬儀が営める様、心する事が大切です。

 

 私どもも 歴史の中に連なる者として この時代に生きて居り、古人により育まれた葬儀文化を大切にすると共に、今の時代に必要とされる葬儀文化を築いていかなければ成りません。少子高齢化、人口の都市集中、核家族化、それに伴う地域社会の大きな変容は 多様な死生観ともなり、葬儀の様式も多様化することとなります。私共も 日本の葬儀文化を良く理解した上で、ご葬家様のお気持ちに合ったご葬儀を企画出来る様、心しなければ成らないと考える日々で御座います。

 

   今回は以上です。

 

 

葬儀に学ぶ

 今回は葬儀から教えられるものに付いて書かせて頂きました。

 

 故人様の死を悼んで人々が集まり営まれる葬儀からは 人の命の大切さや、生ある人は必ず死ぬべき存在であると知らしめます。そして 故人様の死は 周囲の人々に大きな悲嘆をもたらすほどの大きな出来事であることに直面し、人の命の大切さを体験的に教えられます。又 人々は死の事実に直面するとともに、死がけっして終わりや無に帰するものでもない ということを学ぶ機会ともなります。

 

 葬儀では 故人様の生き様に思いをいたし、故人様のご遺体を大切にし、故人様によせるご遺族の心と痛みを思い遣り、会葬に訪れる人々の心と思い遣りを大切にする中から、人の生と死は重く、大切なものであることを知らしめられます。人の死はけっして軽いものではありません。それは 人の生、命が重いものだからです。どのような命も、その重さには変わりがなく、同様に どのような死も 重い出来事となります。

 

 故人様を悼み、故人様と別れ、心を込めて送り出す時、私達 生きている者も いずれは死すべき者であるということに思いをいたします。死ぬと言う事に関しては 死者と残された者との違いは 先に逝く者と、後から逝く者の違いだけであり、遺された私共もいずれ死すべき者であります。

 

 私どもは 葬儀という場に立会い、お手伝いさせて頂くことによって、命について学ばせて頂いて居ります。私どもは 葬儀という辛い儀礼をお手伝いする中から、多くの命の歴史を学ばせて頂いて居ります。

 

   今回は以上です。

葬儀の目的

 今回は葬儀は何故行わなければならないのかに付いて書かせて頂きました。

 

 人は誕生した後には 家族の愛に育まれて生長し、社会生活を営み、結婚して家族を作り、そして 死を迎えます。その死は 突然の事故であったり、若くして病に倒れることであったり、老齢になり命が尽きるものであったり、様々ですが 生あるところには必ず死が伴います。人の生が多様であるがごとく、その死もまた多様です。人の死と共に起こる事柄の為に 葬送儀礼(葬儀)が行われます。その目的とする所は 社会的な処理、ご遺体の処理、霊の処理、悲嘆の処理、様々な感情の処理などです。

 

 社会的な処理とは 人は社会の中で生きている訳ですから、社会はその人の死を処理しなければ成りません。社会にその人の死を告知しなければ成りませんし、社会の人々は集ってその死を確認しなければ成りません。死亡届を提出したり、戸籍から抹消したり、相続をしたりなどの手続きも必要です。

 

 ご遺体の処理とは 目に見える形での 死者との決別とは ご遺体とのお別れです。これは単なるご遺体の物理的な処理とは大きく異なります。又 人の身体は 生命を失うと腐敗が始まります。従いまして ご遺体は 土中に埋めたり、火で燃やすなどしての処理が必要となります。

 

 霊の処理とは 古くから育まれて来た文化や宗教に根差すもので、人は死ぬ事により この世に於いては その人と残された者との関係が閉ざされる事の成ります。従いまして 残された者達は 死者の零を慰め、来世での幸せを祈ると共に、死者との関係を新たに作りあげなければ成りません。これが葬儀式の中心をなすもので、一般てきには 宗教による儀礼を基に執り行う事に成ります。

 

 悲嘆の処理とは 人の死は 周囲の者に衝撃を与え、悲しみ、心の痛みをもたらします。従いまして 周囲の者がその死を受入れる為には、時により長い時間を必要とします。臨終行事に始まり、通夜式、葬儀式、その後の法要に至るプロセスは 周囲の者の心を安んじる為でもあります。特に 死者との関係な密であった 配偶者や御家族には 深刻な心の痛みを生じさせます。これは病気ではなく、自然な心持ちであり、必要なだけの時間をかけて癒さなければ成りません。周囲の方々も この悲しみにある者の心に寄り添い、慰め続けることも必要となります。


 様々な感情の処理とは 人が死ぬと様々な感情にとらわれる事があります。古くは 人の死が新たな死を招く祟りの様な怖れや、遺体の腐敗に対する恐怖心などがあり、この様な恐怖心を和らげる為に 死者の霊を鎮魂し こうした感情を緩和する為にも、弔いの儀礼が要請されて来ました。


   今回は以上です。 

葬儀とは

 今回は葬儀とは何かに付いて書かせて頂きました。

 

 葬儀とは 狭い意味では通夜式、葬儀式(葬式)を想像しますが、広い意味では 葬送儀礼の略でもあります。葬送儀礼は 人の臨終から、その後の喪までを含めた 故人様を葬り、悼むための 一連の儀礼を表わします。その様式は それを行う人々の死生観や宗教観が深く反映されたものであり、葬送儀礼は宗教が文明のなかで発生する以前の旧石器時代から行われてきた人間自身の宗教的行為であるとも言えます。又 葬送儀礼は 故人様のためであると共に、故人様の死を悼む 残された方々の心を癒す手助けとなる儀礼でもあります。

 

 日本に於ける葬送儀礼は仏式が主流となって居りますが、具体的には インドから中国を経て伝来した仏教の儀式に儒教の教えや神道の習慣等 日本で培われた文化が加味されて、現在の葬送儀礼があります。

 

 通夜は 日本で古代に行われていた”もがり”に発すると言われて居り、故人様との最後のお別れをすると共に、魔除けの意味も込めて、夜明けまで 灯明や線香の火を絶やさぬようにします。出棺時に行う故人様の飯茶碗を割る儀式は 故人様の霊が自宅に名残りを残さぬようにと行います。葬儀の終了後に 振り塩 と呼ばれる、塩で清める習慣は 神道由来の習慣であります。

 

 孔子を始祖とする儒教は5世紀頃に日本に伝来し、永く日本文化の進捗に寄与しましたが、その教えの中で 親の葬儀を盛大に営む事が何より大切な事とされます。その死生観では 人は死ぬと魂(こん)と魄(はく)という二つたましいに別れ、魂は精神を 魄は肉体を司るたましいであるとされます。魂は天に昇って神となり、魄は地にかえる、とされます。残された人々は魂を祀る為に位牌を作って廟に祀り、魄の戻る場所として地中に遺体を埋めます。天国や地獄などの7っの世界は儒教から生まれて居り、紙幣を燃やして死者の魂を慰めるのも儒教から来ております。

 

   今回は以上です。

相続税の申告と納税

 今回は相続税の申告と納税に付いて書かせて頂きました。

 

 相続税の申告と納税は 相続開始の翌日から10ヶ月以内、もしくは 相続を知った日の翌日から10ヶ月以内に 被相続人が亡くなったときの住所地を管轄する税務署で行わなければなりません。納税は原則として 金銭で一括納付が原則です。尚 相続税がかからない場合や、配偶者には大幅な税額軽減の措置もありますので、よく確認される様、お薦めします。

 

 相続税の申告と納付は 相続人の住所地ではなく、被相続人の住所地を管轄する税務署で行います。申告書は各相続人が個別に提出しても、相続人が共同で作成し 全員で署名・押印して申告してもかまいません。又 納付は金銭での一括納付が原則ですが、一定の要件を満たせば、延納や物納も認められる場合が御座います。10ヶ月の期限以内に 分割協議がまとまらなかった場合は、ひとまず 法定相続分で分割したものとして相続税を計算し、申告・納税を行います。そして 分割が確定した後に、納めた額が少なかった場合は修正申告を、多かった場合は更生の請求をします。

 

 相続税は遺産相続をした人すべてに課税される訳では有りません。基礎控除といわれる額があり 3000万円+(600万円×法定相続人)以下の課税価格は相続税納付の対象外となります。例えば 被相続人には 配偶者とお子様が二人居られた場合は 3000万円+(600万円×3名)=4800万円が基礎控除額となり、課税価格が4800万円以下の場合は 申告・納税は不要となります。尚 法定相続人の人数は 相続を放棄しても人数として加えます。

 

 被相続人の配偶者には相続税が大幅に軽減されたり、無税になる特典が設けられております。配偶者の税額軽減が適用されて無税となるのは 以下の場合です;

1 取得財産の課税価格が1億六千万円以下の場合。

2 取得財産の課税価格が法定相続分以下の場合。

これにより配偶者の税額は大幅に軽減されますが、この税額軽減を受ける為には、遺産分割協議を成立させたうえで税務署への申告が必要と成ります。

 

   今回は以上です。 

相続財産の評価

 今回は相続する財産の評価方法に付いて書かせて頂きました。

 

 相続する財産の評価は 相続開始時の時価による評価が原則です。現金以外の相続財産は その価値が明確な数字で表現されていないと、相続税の計算をする事が出来ません。相続税算出の根拠となる時価に付いては 課税の公平性を保つために、国税庁では ”財産評価基本通達”を作成し、財産を評価する基準や方法を定めて居ります。

 

 宅地の評価方法は 市街地と郊外・農村部ではその評価方法がことなります。

市街地では 路線価を基準として計算します(路線価方式)。路線価とは 道路(路線)に面した標準的な土地、一平方メートルあたりの価額で、各国税局が市区町村ごとに毎年 評価を行い、路線価図 として公表しております。土地の評価額は 路線価×面積を基本として、土地の形状や立地条件に応じて調整を加えて決められます。路線価図は税務署、市区町村役所、公営の図書館などで閲覧できます。又 国税庁のホームページで 財産評価基本通達とともに見ることができます。

郊外や農村部で路線価が定められていない土地の場合は 固定資産税評価額に国税庁が地域ごとに定める倍率を掛けて評価額を計算します(倍率方式)。固定資産税評価額は 所轄の税務署が発行する固定資産税評価証明書で確認することができます。倍率は税務署に問い合せるか、国税庁のホームページで確認する事が出来ます。また 一定の条件にあてはまる宅地に付いては 税額が軽減される特例が有りますので、実際の土地の評価額は 税務署、もしくは税理士などの専門家の確認されることをお薦めします。

借地権は 路線価×0.98×借地権割合(路線価図で確認)×面積で計算します。

建物は 固定資産税評価額です。

マンションは 建物は固定資産税評価額、土地はマンション全体の評価額×持分の割合で計算します。

株式(上場株式)は 相続開始日の終値と相続が開始された月以前3ヶ月間の毎日の終値の各月平均額の内、最も低い額です。

書画・骨董は 類似品の売買実例価額や専門家の意見などを参考に評価します。

 

 相続人が被相続人の債務(借入金、買掛金、未納の税金など)を承継したり、被相続人の葬儀費用を負担した場合は相続財産から差し引いて相続税を計算します。

 

   今回は以上です。

相続税

 今回は相続税に付いて書かせて頂きました。

 

 相続税には 基礎控除と呼ばれる制度があり、3、000万円+(600万円×相続人の数)が基礎控除額となり、課税の対象とはなりません。基礎控除額を超える相続財産は原則として課税の対象となりますが、その中でも 相続税の対象となる財産と対象とならない財産があります。

 

 相続税の対象となる財産には、本来の財産と みなし相続財産 そして 相続開始前3年以内に暦年課税により生前贈与された財産と 相続時精算課税適用財産が加わります。本来の財産とは 被相続人が所有していた 土地(宅地、田畑、山林)、家屋、事業用財産、有価証券、現金、預貯金、家具、書画、骨董、自動車、電話加入権などです。みなし相続財産とは 被相続人がご逝去したことにより発生し、取得することになった財産で、死亡退職金 生命保険金 生命保険契約に関する権利などがあります。

 

 課税の対象とならない財産としては;

1 墓地、墓碑、仏壇、神棚、仏具などの祭祀財産。

2 特定の公益事業者が取得した特定の財産。

3 心身障害共済制度にもとずく給付金の受給権。

4 生命保険金のうち、法定相続人一人当たり500万円までの金額。

5 退職手当金等のうち、法定相続人一人あたり500万円までの金額。

6 申込み期限までに国、地方公共団体、特定の公益法人、特定のNPOなどに寄付した財産。

などがあります。

 

 尚 被相続人から生前贈与をうけた場合は 相続財産と合算して相続税を計算しなければなりません。贈与を受けた時点で納めた贈与税相当額は 合算した相続税から控除されます。控除しきれない場合、すなわち 相続税よりも 納めた贈与税額のほうが大きい場合は 控除しきれなかった金額が還付されます。

 

   今回は以上です。

相続後の手続き

 今回は相続後の手続きに付いて書かせて頂きました。

 

 遺産分割協議により 相続する案件と相続人が確定致しましたら名義変更の手続きが必要なものは、出来るだけ早く名義の変更をします。土地・建物は所有権移転登記を、預貯金は口座の名義変更を、株式・債券は所有者の名義書き換えを、借地権・借家権は名義書き換えを、自動車は所有者の移転登録を、電話加入権は加入権承継手続きをおこないます。遺贈により相続した場合もすみやかに名義変更の手続きをします。


 遺産分割協議により 土地・建物などの不動産を取得した時には、所有権移転登記申請書を その物件が所在する地域を管轄する地方法務局に提出し、相続人の名義に変更登記をします。申請は 単独で取得した場合は相続人が単独で、共有の場合は共同ですることができます。申請には 登記申請書とその写し、登記原因証明情報として 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)と住民票の除票、そして 不動産を相続する人の戸籍謄本と住民票 遺産分割協議書 相続人全員の戸籍謄本と住民票 印鑑証明書 そして 固定資産税評価証明書が必要です。又 遺言による相続の場合は遺言書の写しも添付する必要があります。相続の場合の不動産の登記手続きには登録免許税がかかります。登録免許税は 固定資産税評価額の0.4%です。

 

 登記申請書の書式や具体的な手続きの詳細は 法務局のホームページで確認することができ、オンラインでの申請も可能となっております。又 司法書士に依頼することもできます。

 

 登記手続きに期限は有りませんが、故人様の名義にしておくと、次の相続の際に手続きが複雑になったり、トラブルのもとになったりする事がありますので、できるだく早く名義変更されることをお薦めします。

 

   今回は以上です。

 

遺産分割協議

 今回は遺産分割協議に付いて書かせて頂きました。

 

 遺産分割協議は 相続人全員の参加が大原則となります。相続人の一人でも欠いた遺産分割協議は無効となります。又 遺言により 包括受遺者や相続分の譲受人が居られる場合は、それらの方々も協議に参加しなければ成りません。又 相続人に行方不明の方がいる場合は 財産管理人が、未成年者がいる場合は法定代理人の参加が必要です。協議が成立しましたら、後日のトラブルを避ける為にも 遺産分割協議書を作成します。

 

 まず 相続人を確定させなければなりませんが、その確定の為には 被相続人の出生から死亡までの”戸籍、除籍、改製原戸籍”などをもれなく取り寄せ、相続人の調査・確定を計ります。

−胎児は相続においては生まれたものとみなされます。但し 協議は胎児が生まれるのを待って、特別代理人を選任した後に行います。

−行方不明の方が居られる場合は 配偶者もしくは利害関係人は家庭裁判所に失跡宣告の申立てを行い、確定後に市区町村役所に失跡届を提出して死亡を確定します。家出などにより音信不通で生死不明の場合は 7年以上その状態が続くと 失跡宣告を受けて死亡が確定します。従いまして7年未満では生きているものとみなされますので、家庭裁判所に申し立てて 行方不明者の財産管理人を選任してもらいます。海難事故や山岳遭難などにより、死亡したのは明らかなのに死体が確認出来ない場合は 1年後に失跡宣告の申立てをすることが出来ます。1年以内の場合は行方不明者と同様の手続きをおこないます。選任された不在者財産管理人は 代理人として遺産分割協議に参加し、合意後に分割された財産を管理します。

− 未成年者の法定代理人には 通常 親権者がなりますが、親権者が相続人の一人であった場合は、法定代理人には成れません。この場合は 被相続人の住所地の家庭裁判所に申立てをして 特別代理人を選任してもらいます。尚 申立ては 親権者 又は他の相続人が行えます。

 

   今回は以上です。

遺留分

 今回は遺産相続に於ける遺留分に付いて書かせて頂きました。

 

 民法の相続規定は原則として 相続財産は被相続人が自由に処分する事が出来、推定相続人の相続への期待は権利としては保障されませんが、相続が相続人の生活保障の意義を持つ点や、被相続人名義の財産には相続人の潜在的持分が含まれる可能性があることから、配偶者・直系卑属・直系尊属には 強行規定として、遺留分という相続財産に対する権利が認められております。

 

 被相続人の遺言により 特定の相続人や第三者に全ての財産を譲ると指定された場合、遺言に従うと本来は遺産を引き継ぐ権利をもつ人が、全く遺産を受取ることが出来なくなります。つまり 配偶者やお子様など ご遺族の法定相続人としての権利が侵されてしまう場合があります。この様なことを保障するため、ご遺族が相続できる最低限度の相続分を”遺留分”というかたちで規定しています。被相続人の遺言により 特定の相続人や第三者に遺贈または贈与がされ、それによって相続人の遺留分が侵害された場合、侵害された相続人は遺贈または財産贈与を受けた相手に対して、財産の返還を求める権利があります。又 相手がまだ受取っていない財産を請求してきた場合は その請求を拒否する権利があります。この権利を”遺留分減殺請求権”といいます。生前贈与も減殺請求の対象となります。

 

 遺留分が認められているのは 被相続人の配偶者、直系卑属(子、孫、ひ孫など)、直系親族(父母、祖父母など)だけです。被相続人の兄弟姉妹には認められて居りません。遺留分の割合は 相続人の構成により異なり、直系親族のみが相続人の場合は 被相続人の財産の三分の一、それ以外の場合は全体で被相続人の財産の二分の一、となります。尚 減殺請求は 相続開始から一年以内 および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年以内、相続開始後10年以内に行わないと、時効により請求権は消滅します。

 

   今回は以上です。

法定相続

 今回は法定相続による相続分に付いて書かせて頂きました。

 

 法定相続の場合、各相続人が引継ぐ遺産は 民法により法定相続分としてその比率が決まっております。又 その比率は相続人の構成により異なります。

 

 相続人が被相続人の配偶者一人だけの場合は 配偶者が全ての遺産を相続します。このとき 配偶者とは 戸籍上の婚姻関係にある方で、内縁関係の場合は その状況に係わらず相続権は有りません。配偶者と血族相続人がいる場合は 血族相続人の順位と人数によって比率は変わります。

 

 配偶者と直系卑属(第一順位)の場合は それぞれが二分の一ずつ相続します。お子様が複数の場合は 二分の一をお子様の人数で等分して相続します。但し 非嫡出子は嫡出子の二分の一となります。非嫡出子は 母親との関係では認知届が出されていなくても法律上の親子関係が成立しますが、父親との関係では 被相続人の子であることが認知されていなければ成りません。配偶者が居られない場合は お子様方が全遺産を等分して相続します。お子様がすでに亡くなられて お孫さんが居られる場合は お孫さんが代襲相続をします。胎児は嫡出子として同じ相続分が認められて居ります。但し 出生を前提として居りますので、この場合 遺産分割は出産後に行うのが一般的です。

 

 被相続人にお子様がいない場合は 配偶者と直系尊属(第二順位)による相続となります。この場合は 配偶者が三分の二を、被相続人の父母 父母が居られない場合は祖父母が三分の一を相続します。配偶者が居られない場合は 全ての遺産を直系尊属が相続します。

 

 被相続人に直系卑属も直系尊属も居られない場合は 配偶者と被相続人の兄弟姉妹(第三順位)が遺産を相続します。相続分の比率は 配偶者が四分の三で、兄弟姉妹が四分の一を人数で等分します。異母兄弟姉妹や異父兄弟姉妹の相続分は 同じ父母から生まれた兄弟姉妹の二分の一となります。配偶者がいない場合は 兄弟姉妹が全ての遺産を相続し人数で等分します。

 

   今回は以上です。 

遺産分割

 今回は遺産分割に付いて書かせて頂きました。

 

 相続人が2人以上居られる場合は 遺産を分割しなければ成りません。遺産分割の方法には 3通りの分割方法があります。指定分割、協議分割、調停分割・審判分割の3っです。

 

 指定分割とは 被相続人が遺言により遺産の分割方法を指定している場合に、その指定に従い分割する方法です。相続では ”遺言による相続は法定相続に優先する”という大原則に従い、指定分割が最優先され、遺言による分割指定が 法定相続による相続分と異なっていても、原則としてこれに従います。ただし 遺留分の請求があった場合はこの限りではありません。そして 相続人全員の合意があれば 遺言の指定に従わなくても構いません。例えば 遺言では 全財産を配偶者に譲る と指定されていても、配偶者自身がお子様にも分割したいと考え、お子様もそれを受入れた場合は 親子で分割することが出来ます。

 

 被相続人から遺言による指定が無い場合には、相続人全員で話し合い(協議)を行い分割方法を決定します。これを 協議分割といい、行う話し合いを遺産分割協議と言います。協議は 特別受益者、寄与分に付いて考慮に入れながら、法定相続分を前提として 遺産の性格、相続人それぞれの状況などを考慮に入れながら協議を行います。全員の合意が得られましたら その内容を”遺産分割協議書”としてまとめ、相続人全員が 署名・押印(実印)をして完成させます。遺産分割協議書は 作成しなくても協議分割は成立しますが、不動産を相続した場合の登記や預貯金口座の名義変更の際に協議書が必要となります。又 後日のトラブルを防ぐ上でも遺産分割協議書を作成される様、お薦めします。

 

 協議分割は相続人の一人でも同意しない場合は成立しません。その場合は家庭裁判所に 遺産分割の調停を申請することができます。この調停は 非公開の場で家事裁判官と調停委員の立会いとアドバイのもとに 譲歩と合意をめざします。結論を当事者が決定する事により 調停が成立します(調停分割)。

調停が成立しない場合は 家庭裁判所の審判にゆだねられます。裁判所は事実関係を調査し、証拠調べを行い、家事審判官により分割が命じられます(審判分割)。

尚 横浜家庭裁判所は 中区日本大通り9番地に所在し、川崎、相模原、横須賀、小田原に支部を持って居ります。

 

   今回は以上です。

特別寄与者

 今回は特別寄与の制度に付いて書かせて頂きました。

 

 特別寄与とは 共同相続人の間の公平を図る為の制度で、特定の相続人が被相続人の財産を維持 または増加させた場合に、その相続人を特別寄与者として認定し、本来の相続分以上の財産を相続させようとする制度です。寄与分を主張できるのは 相続人にかぎられ、内縁の妻や事実上の養子などは いくら貢献度が高くても 寄与分を主張する事はできません。又 相続放棄した者、相続欠格者および廃除された者も寄与分を主張する事はできません。

 

 民法の規定によれば 相続人の中に、被相続人の事業を手助けしたり、被相続人の療養・看護に努めるなどして、被相続人の財産の維持や増加に特別に貢献してきた人(特別寄与者)がいれば、その相続人には 法定相続分とは別枠で、寄与相当の相続分(寄与分)が認められるとされます。この規定は昭和56年1月1日以降に相続が開始した遺産分割に適用されます。

実際に寄与分が認められるのは、その相続人の貢献によって被相続人の財産の維持ないし増加が図られたと 客観的に判断されたときです。親子であれば 扶養の義務が有りますので、通常の世話や介護は寄与とは認められません。寄与分を認めるか、認めるとすればどの程度認めるかは 相続人全員の協議で決められます。協議の中で決められない場合は 寄与を主張する方が、家庭裁判所に請求して判定して貰います。寄与分が認められた場合は 相続財産から寄与分を差し引き、残りの分を相続財産として分割します。

寄与分が認められるのは;

1 被相続人の事業に関する労務の提供、もしくは財産の給付。

2 被相続人の療養看護その他の方法により財産を維持。

3 被相続人の財産の維持または増加につき特別に寄与した。

場合となります。

 

 寄与分は法定相続人だけに認められています。従いまして ”夫婦同然に暮らし家業を助けた、内縁の妻”や ”看護人を雇わず、看護に努めた息子の妻”などには どんなに 故人様の財産の維持や増加に努めたとしても、寄与分は認められません。こうした 相続権のない方に財産を譲る為には 遺言書による財産の贈与が必要となります。

 

   今回は以上です。 

特別受益者

 今回は特別受益に付いて書かせて頂きました。

 

 特別受益とは 相続人の中で 被相続人から生前贈与や遺贈を受けた方を特別受益者と呼びます。民法では共同相続人の間の公平を図る為、特別受益分は相続財産に持ち戻して計算し、各相続人の相続分を算定すると定められております。具体的には 被相続人から 遺贈を受けた、生前に結婚や養子縁組の為に贈与を受けた、生前に住宅資金など 生計の為に贈与を受けた などの場合に適用されます。

 

 共同相続人の中に特別受益者がいる場合、特別受益分を考えずに遺産を分割すると、他の相続人との間で不公平が生じます。このとき不公平を生じさせないよう、特別受益分を相続財産の前渡しとみなして、特別受益者の相続分から差し引きます。これを特別受益の持ち戻しといいます。相続分から特別受益分を差し引いた結果がマイナスとなる場合は、そのマイナス分を他の相続人へ渡さなければ成りません。但し 特別受益者以外の相続人全員が遺産の分割に際して ”特別受益分は考慮しない”と認めた場合、及び 遺言書の中で”特別受益の持ち戻しは免除する”と指定されていれば、持ち戻しは免除されます。

 

 特別受益の対象となる贈与には 結婚・養子縁組の際の持参金や支度金、嫁入り(婿入り)道具購入の為の贈与、独立開業資金などの援助、学費の援助、住宅購入や新築などの際の援助、生計の資金と考えられる贈与、などがあります。又 遺言により特定の相続人が受けた遺贈は 受遺者の法定相続分にプラスされるのではなく、特別受益として法定相続分から差し引かれます。

 

 特別受益分の評価額は 特別受益者が贈与を受けた時点での価格で評価されるのではなく、相続開始時の評価額で換算されます。例えば 生前に5000万円のマンションを贈与されたとしても、相続開始時の評価額が2500万円であれば、特別受益は2500万円として評価されます。又 特別受益者が贈与された財産を使い果たしてしまっていても、有るものとして評価されます。

 

   今回は以上です。

相続人

 今回は相続人に付いて書かせて頂きました。

 

 相続人には 法律で決められた範囲と順位があります。相続人のなれる人の範囲は法律で定められて居り、定められた相続人を法定相続人といいます。法定相続人には 配偶者相続人と血族相続人があります。但し 相続欠格のひとは 相続人の立場であっても相続人とは成れません。

 

 配偶者相続人は 被相続人の配偶者で、常に相続人となります。血族の相続人がいない場合は単独で、血族がいる場合は血族相続人と共同で相続することになります。尚 配偶者とは法律上婚姻届を出している正式な場合に限られます。内縁の配偶者は含まれません。

 

 血族相続人とは 被相続人と血のつながった親族の中で、子や孫などの直系卑属、父母や祖父母などの直系尊属、兄弟姉妹などです。被相続人の子は 配偶者と同様に常に相続人となれます。又 血族相続人は配偶者がいなくても相続人となることができます。血族相続人には第一から第三までの順位があり、第一順位の相続人がいれば 第二順位、第三順位の方は相続人にはなれません。第二順位の方は第一順位の方がいない場合、第三順位の方は 第一順位、第二順位の方がいない場合にのみ相続人となれます。

第一順位は被相続人の直系卑属となる 被相続人の子です。子には 嫡出子、非嫡出子、養子、胎児、そして代襲相続となる孫やひ孫などが含まれます。

第二順位は被相続人の直系親族である父母や祖父母などで、まずは父母が、父母がいない場合には祖父母が相続人となります。父母のうちどちらかがいれば祖父母は相続人とはなれません。

第三順位は被相続人の兄弟姉妹です。父母の一方だけが同じ半血兄弟姉妹も含まれます。

 

 代襲相続とは 被相続人の子が 先に亡くなっていて、お孫さんがいる場合は お子様の相続分をお孫さんが引継ぐことです。お孫さんも亡くなり、ひ孫さんがおられる場合はひ孫が代襲相続します。直系卑属には無限に代襲相続が認められて居ります。

 

   今回は以上です。

相続の承認と放棄

 今回は相続の承認と放棄に付いて書かせて頂きました。

 

 相続を行うに当たりましては 全てを無条件に引き継ぐ”単純承認”、相続人を保護するための”限定承認”、そして いっさいの権利も義務も放棄する”相続放棄”の何れかを選択することが出来ます。

 

 単純承認とは 被相続人の残されたプラスの財産もマイナスの財産もすべて合わせて、権利と義務を無条件で引き継ぐことをいいます。相続開始後 3ヶ月以内に単純承認の意思表示をするか、限定承認もしくは相続放棄の手続をしなければ、単純承認とみなされます。又 相続人が 遺産の一部をかってに処分したり、隠したり、故意に財産目録に加えなかったりした場合も 単純承認と認定され、限定承認や相続放棄の手続が出来なくなります。注意が必要です。

 

 相続人はプラスの財産だけではなく、マイナスの財産も引き継ぐことになり、場合によっては多大な負債を背負うことにもつながります。この様な場合に相続人を保護する制度として、限定承認や相続放棄の制度があります。マイナスの財産がプラスの財産より多いか少ないか相続開始から3ヶ月以内に判明できない場合などにも、限定承認の手続をとっておきます。限定承認は 債務などのマイナス財産も引き継ぐが、それは引き継いだプラス財産の範囲で返済するという承認です。ご自分の財産を使って 負債の弁済をする必要は無く、返済後に財産が残れば相続することが出来ます。限定承認は 有効な相続人全員の合意が必要で、相続開始から3ヶ月以内に被相続人の住所地の家庭裁判所に申立てをしなければなりません。

 

 相続放棄は 被相続人の財産に関するいっさいの権利も義務も放棄することで、初めから相続人と見做されません。遺産相続を辞退したい場合や マイナスの財産がプラスの財産より多い場合などに適用します。相続放棄は相続人各人が個別にすることが出来、相続開始から3ヶ月以内に 被相続人の住所地の家庭裁判所に申立てを行い、相続放棄が本人の意思である事が認められると受理されます。尚 相続放棄をすると 原則として徹回する事は出来ません。又 その方の直系卑属に対する 代襲相続も自動的に放棄されます。

 

   今回は以上です。 

相続財産・相続税

 今回は相続できる財産と相続税に付いて書かせて頂きました。

 

 被相続人が亡くなられますと相続が開始されますが、相続人が複数居られた場合には 相続財産はまず相続人全員の共有財産となります。相続の対象となる財産は 被相続人が生前所有していた 現金、預貯金、土地、家屋、貴金属宝石類、書画、骨董、家財道具、株式等の有価証券、借地権、借家権 などのプラス財産と、借金や未払いの税金などのマイナス財産です。以上の 相続する財産は原則として相続税の対象となります。

 

 相続の手続を行う前に 被相続人の財産目録を作成しなければ成りませんが、対象とされるものは;

1 土地; 宅地、田、畑、山林、原野、牧場、鉱泉地、その他。

2 土地の上に存する権利; 借地権、地上権、永小作権、耕作権、温泉権、占有権、その他。

3 家屋; 居住用家屋、貸家。

4 家屋の上に存する権利; 借家権。

5 建築物; 工場、倉庫、広告塔、その他。

6 果樹等; 幼齢樹、成熟樹、その他。

7 立竹木; 立木および立竹。

8 一般動産; 家庭用動産、農耕用動産、その他。

9 棚卸商品等; 商品、原材料、半製品、仕掛品、製品、生産品、その他。

10 牛馬等; 牛、馬、犬、鳥、魚、その他。

11 書画・骨董品; 書画、骨董品。

12 船舶; ボート、ヨット、漁船、その他。

13 無体財産権; 特許権、実用新案権、著作権、出版権、商標権、その他。

14 株式および出資; 株式、農協等への出資、医療法人への出資、その他会社への出資。

15 公社債; 公社債、転換社債、割引債、その他。

16 定期金に関する権利; 有期定期金、無期定期金、終身定期金、その他。

17 信託受益金; 信託の利益を受ける権利。

18 その他の財産; 預貯金、貸付金、売掛金、未収入金、受取手形、無尽・頼母子講に関する権利、ゴルフ会員権、その他。

以上はプラスの財産ですが、マイナスの財産も含めて目録を作成し、その評価額も記入します。

 

 相続の対象とならない財産としては 祭祀財産、香典、死亡退職金、遺族年金などがあります。祭祀財産としては 墓地、墓石、仏壇、仏具、神棚などが含まれ 祭祀承継者が単独で引き継ぐものとされ相続の対象とはなりません。香典は喪主に贈られるものとみなされます。死亡退職金・遺族年金も 受給者(遺族)の固有財産となり相続の対象とはなりません。生命保険金は 被相続人が保険料を負担し、受取人を被相続人としていた場合や、受取人を指定していなかった場合は 相続財産となります。受取人を特定の人に指定していれば 保険金はその人の固有財産となり、同じく相続財産とは成りません。

 

   今回は以上です。

 

 

相続の開始

 今回は相続の開始に付いて書かせて頂きました。

 

 相続は 人が亡くなると同時に開始されます。亡くなった方は被相続人となり、相続の権利を持つ人を相続人として、被相続人の財産上の全ての権利と義務を引き継ぐこととなります。預貯金や動産・不動産などプラスの要素と共に 借金などの債務や損害賠償責任などのマイナスの財産も受け継ぐことになります。医師の死亡診断書、監察医の死亡検案書に示された死亡時刻から、又は 失跡宣告や認定死亡により宣告された日より相続は開始されます。

 

 被相続人が亡くなられましたら 出来るだけ早く、故人様が遺言書を残しているか如何かを確認します。遺言書の有無により 遺産が如何受け継がれるか変わってくるからです。相続では ”遺言による相続は法定相続に優先する”という大原則が有るからです。被相続人が法的に有効な遺言書を残していた場合は 原則として遺言書の内容に従い相続が行われます。但し 相続人全員の同意があれば 遺言書の内容に従わなくても構いません。又 遺言書が存在しない場合は 民法に規定された法定相続の原則に従い、被相続人の財産を 相続人の誰が、どの様な割合で相続するか決定されます。但し この場合も 前記と同様に 相続人全員の合意があれば、法定相続とは異なる割合の相続をする事が可能です。

 

 相続税の申告と納税の期限は 被相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月以内とされて居ります。又 相続の放棄やマイナスの財産が多い場合の限定承認の申請は 相続開始後3ヶ月以内とされて居りますので、相続人の確認 相続財産の調査・確認などは 出来るだけ早く行う事をお薦め致します。尚 相続開始の場所は 被相続人の最後の住所地で開始されることになります。

 

   今回は以上です。

 

遺言書の検認

 今回は遺言書の検認に付いて書かせて頂きました。

 

 遺言書の検認とは 裁判所が相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書に形状、加除訂正の状態、日付、署名など 検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。自筆証書遺言、秘密証書遺言は 遺言者の死後 すみやかに 遺言者の住民登録地の家庭裁判所で検認を受けなければなりません。公正証書遺言では必要ありません。

 

 遺言者の死後に遺書が見つかりましたら、公正証書遺言以外の遺言書は 保管をしていた方、又は 発見した方は 遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません。また 封印のある遺言書は 家庭裁判所で相続人等の立ち合いに上で開封しなければなりません。検認の請求は 遺言者が亡くなった時に住民登録していた居住地の家庭裁判所に行います。検認は遺言書が正しいものかを確かめ、遺言書の存在を明確にし、記載内容を確認して、改竄を防ぎ、保存を確実にするために行われるものです。検認が終了しますと、請求にもとずき”検認済証明書”が発行されます。遺言の執行には 遺言書に検認済証明書が付いていることが必要となります。

 

 遺言書が封印されていない場合は検認前に開封しても構いませんが、封印されている場合は そのまま家庭裁判所に提出し、相続人 もしくは代理人の立会いのもとに開封されなければ成りません。これに反して開封した場合は 過料(行政罰)が科せられます。又 検認が必要な遺言書なのに、故意に検認の請求を行わなかった場合にも過料が科せられます。

 

 検認の手続は 遺言書の原本の他に、遺言者の死亡が記載された戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、相続人以外の受遣者の戸籍謄本を添えて、遺言書検認申立書を家庭裁判所に提出します。その後 家庭裁判所より 検認の日取りが通知され、検認当日に相続人などの立会いのもとに、遺言書の内容が確認されます。

 

 尚 遺言の検認請求をせず、さらに隠匿した場合は 相続欠格により相続権が奪されます。また 遺言書を改竄した場合は 相続権が奪された上で、刑事責任も問われることになります。

 

   今回は以上です。

遺言信託

 今回は遺言信託に付いて書かせて頂きました。

 

 遺言信託とは 遺言により信託を設定する事ですが、その一つとして 信託銀行が有償で提供する 遺言書の作成・遺言の執行などのサービスがあります。遺言者の死後 公益的な目的の為に財産の全て 若しくは一部を活用して欲しい場合や(目的信託)、親族の状況に応じて 受託者の裁量により財産の使途や処分方法を決定して欲しい場合などに活用する事ができます。その費用はお願いする 信託銀行により異なります。

 

 信託銀行では 遺言書作成のアドバイスから公正証書遺言の作成、遺言書の保管、遺言執行者としての遺言の執行、遺産の整理など 遺言からその執行までの一連に関する業務を行っております。その内容と費用は信託銀行により異なりますが、一般的には 遺言の作成に関するコンサルティング、作成した遺言書の保管、遺言の執行 などで 遺言信託という名称で取り扱って居り、遺言書の保管だけを扱うケースも御座います。遺言の執行報酬は 相続税評価額の2.1%(但し最低105万円)などで設定されて居り 遺言執行業務を多数 手がけてきた弁護士の費用と比較して、必ずしも優位性が有るわけでは有りますん。

 

 具体的には 遺言作成時には信託銀行の手数料と 公正証書遺言の作成費用がかかるほか、遺言執行までの保管料が必要となります。そして 遺言執行時には 基本報酬額プラス相続財産の額に応じた比例報酬が必要となります。遺言書作成時の手数料は20万〜50万円程度、遺言書の保管料は 年間で5千円〜1万円程度、基本報酬額は最低額が100万円〜150万円程度で、信託銀行により幅があります。

 

   今回は以上です。   

遺言の変更

 今回は遺言の変更に付いて書かせて頂きました。

 

 遺言とは ご自分の死後の為に遺す言葉や文章ですが、民法では 遺言は遺産の相続にあたって 遺言者の最終意思を尊重する制度とされます。従いまして 遺言者の意思であれば 何時でも徹回したり、変更したりすることが出来ます。又 遺言は 遺言者が生きている間は 如何なる義務も権利も発生しません、遺言に記載されている土地や建物を売却することも出来、売却したことで遺言は徹回した事となります。


 自筆証書遺言を全て撤回する場合は 遺言書を破棄、もしくは焼却する事で十分です。遺言の内容を一部 変更する場合は 法律で定められた加除訂正の方法に従って、遺言書の原文に手を入れる事が出来ます。ただし 加除訂正が多い場合は 書き直すことをお薦めします。書き直しの際は 前の遺言の方式と同じである必要は有りませんが、必ず 前の遺言を徹回する旨 記述されると、無用の混乱を避ける事ができます。遺言書の撤回や変更は何度しても構いません。


 公正証書遺言を全て撤回する場合は 公証役場に出向き、”以前の遺言を撤回する”という内容の 新しい遺言を作成して登録します。この新しい遺言は 自筆証書遺言でも構いませんが、家庭裁判所の検認手続きが必要となりますので、公正証書で作り直すことをお薦めします。公正証書遺言の原本は公証役場に保管されて居りますので、お手元にある正本や謄本を破棄しても、遺言を撤回した事にはなりません。訂正をする場合は 公証役場で 訂正を申し出るか、新たに変更や撤回部分を記した遺言書を作成します。公正証書で遺言の全部または一部を取り消す場合の公証人手数料は11,000円、内容変更の場合は 所定手数料の二分の一(以前と同じ公証役場では四分の一)が必要です。


 遺言書が2通以上ある場合は 日付の新しい遺言が有効とされる規定です。日付の新し遺言書に前の遺言内容に抵触する内容がある場合は その部分だけ新しい遺言が有効となり、前の遺言の残りの部分もそのまま有効となります。


   今回は以上です。


 

秘密証書遺言

 今回は秘密証書遺言に付いて書かせて頂きました。

 

 秘密証書遺言は 遺言の内容は秘密にして、遺言の存在のみを公証人役場で証明してもらう遺言書です。作成に当たりましては パソコンの使用・代筆も可能ですが、自筆の署名と捺印は必要です。公証人役場では2名以上の証人が必要です。死後の遺言書 執行時には家庭裁判所の検認の手続きが必要となります。

 

 秘密証書遺言の作成は 自筆、パソコン利用、代筆の何れでもかまいませんが、自筆の署名と捺印が必要となります。遺言書が作成されましたら、遺言書を封筒に入れ、遺言書に押印した印鑑で封印します。封印した遺言書を公証人役場に持参し、二名以上の証人 立会いのもと 公証人に提出し、本人が書いたものであることを確認した上で、公証人は遺言者の申立てと日付を封紙(封筒)に記載し、遺言者と証人が署名・押印をして、秘密証書遺言が完成します。公証役場には遺言が作成された事実が記録され、遺言書そのものは本人が持ち返り、保管する事となります。

 

 秘密証書遺言は 遺言書の内容を秘密にしたまま遺言書の存在を明らかに出来る、遺言書の偽造・変造の心配がない、遺言書が本物かどうかといった遺族間の争いはおきない、などのメリットが有ります。ディメリットとしては 公証人役場での面倒な手続き、公証人は遺言の内容までは確認しないので要件が欠けてしまう場合もある、家庭裁判所の検認が必要、遺言書の減失の心配、などがあります。秘密証書遺言は 手続きが煩雑な割に 公正証書遺言の様な確実性はない事から、あまり利用されては居らず、年間に100件程度の利用となって居ります。

 

 尚 何らかの理由で秘密証書遺言が検認されない場合も有ります。このとき全て自筆で作成されて、自筆証書遺言の条件を満たしていれば、遺言として通用されますので、自筆で作成する事をお薦め致します。

 

   今回は以上です。 

公正証書遺言

 今回は公正証書遺言に付いて書かせて頂きました。

 

 公正証書遺言とは 公証役場で証人立会いの下に 公証人に作ってもらう、最も確実な遺言といえます。作成に当っては 本人である事を証明する書類と 実印と印鑑証明を用意し、2名の証人を同行して公証役場に出向き作成します。証人は公証役場にお願いして紹介してもらう事も可能です。特徴としては 公証人が作成するので無効と成る事がない、滅失 隠匿 偽造 変造の恐れがない、家庭裁判所の検認手続きを受ける必要はない 等があります。

 

 公証役場では 証人2名以上の立会いの下に 遺言者は遺言事項を口述し、その内容を公証人が記述します。記述したものを 遺言者と立会人全員に読んで聞かせ、記述が正確である事を確認した上で、遺言者と証人が署名・押印します。遺言者の押印は実印を使用します。そして 公証人は証書を作成した手順を付記し、署名・押印をして 公正証書遺言書が完成します。公正証書遺言は 2名以上の証人を必要とする為、遺言内容を秘密にする事は出来ませんが、公証人の手により 法的に正しい書式と内容で作成する事が出来ます。

 

 遺言書は 原本、正本、謄本の3通が作成され、原本は公証役場に保管され、正本と謄本は遺言者に渡されます。原本は公証役場で保管されますので、死後 発見されないで紛失してしまったり、破棄されたり、内容が改竄されたりする恐れがありません。又 一度作成した公正証書遺言は 取り消したり、変更する事も可能ですし、万一 紛失した場合には再交付をうける事も可能です。公正証書遺言を作成する際には 費用(手数料)が必要と成りますが、その金額は法により定められ、相続・遺贈する財産の金額により異なります。

 

 証人としてお願い出来る方には条件が有り、以下の方々は不適格とされ、証人となる事は出来ません;

1 未成年者。

2 推定相続人、遺言により相続を受ける受遺者、および その配偶者と直系血族。

3 公証人の配偶者、4等親以内の親族、書記、雇人。

   今回は以上です。 

遺言書の書き方

 今回は遺言書の書き方に付いて書かせて頂きました。

 

 遺言書は 大切な方々に送る最後の手紙です。書かれる前には 大切な方々のリスト、と財産目録を作成した上で まずは下書きを行い、その内容を確認して 作成します。内容は この遺言書を作成するに際してのお気持ち、財産の一覧、それぞれの財産の相続者、遺言執行者、作成年月日を 具体的に 解り易く書きます、難しい法律用語や専門用語を使用する必要はなく 使いなれた言葉で書くことをお薦めします。最後に署名、捺印を行い 完成となります。

 

 まずは 作成された財産目録と大切な方々の目録を基に 財産をどう分けるのか、その財産を誰に譲るのかを決めます。具体的な内容が決まりましたら、下書きをし、確認の上で清書します。遺言書の内容は 遺言者の意思が正確に伝わるよう、具体的に解り易く書く必要があります。

 

 表題には 遺言、遺言書、遺言状などと書きます。表題に続いて ”遺言者〇〇〇〇は この遺言書により次のとおり遺言する。”と書き、その後 遺言事項を続けます。遺言者の思いは 自由な表現でかまいませんが、財産や相続人は 特定ができる様、番号を付けて箇条書きにします。譲る相手、譲る財産が具体的にわかるように記載することが大切です。譲る相手に同性同名がいる場合や、法定相続人以外に譲る場合は 受取る相手を特定させる為 生年月日、現住所、本籍などをあわせて記載します。

 

 財産は 確実に特定できるよう一つ一つ正確に記載します。特に土地や建物はは登記記録の記載と一致しないと 相続の登記が出来ないこともありますので、登記事項証明書の記載どおりに書きます。未登記の場合は 固定資産税課税台帳登録証明書のとおりに記載します。預貯金に付いても 複数ある場合は 金融機関名 支店名 口座番号を、株式であれば 会社名 株数などを 客観的に特定できる様に記載します。

 

   今回は以上です。

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